高級食材を身近に。うなぎをテイクアウト・デリバリーのみで『大切な人に贈るお土産』として提供する、六本木「うなぎり 福松屋」

2020年5月24日、六本木にオープンしたうなぎのおにぎり専門店『うなぎり 福松屋』。
テイクアウト・デリバリーに特化した店舗として経営する現在、どのような経営を行い、これからの展開についてオーナーの佐久間さんに伺いました。

【プロフィール】

佐久間 寛隆:うなぎり 福松屋 店主
高校卒業後、西麻布の創作和食の厨房にて修行し調理・飲食店運営の基礎を学ぶ。2010年に創設メンバーとしてDJプロダクション“ZIPANGSTAR”を立ち上げる。今では日本を代表するトップDJ達が所属し、日本全国をはじめアジア・ヨーロッパなど海外でも活躍中。2020年“うなぎり 福松屋“をオープン。
<写真左>

苅部 大樹:弊社 株式会社CRIEN 取締役COO
新卒からITベンチャーにて勤務、その後アサヒビール株式会社やITスタートアップ企業での営業経験を経て、株式会社CRIENを設立する。飲食店での悩みをITの知見を生かして解決すべく『飲食店特化型ITコンシェルジュ」事業を立ち上げる。自身で運営している店舗での効果検証をもとに、ITサービスを活用して、目標達成できる体制づくりまで店舗と向き合いサポートを行う。
<写真右>

映えるだけじゃない、「職人」を感じてもらいたい。そんな気持ちから生まれた『うなぎり』とは

折箱にもこだわりを。正方形で厳格かつ高級感が感じられる
丁寧に盛り付けれられたうなぎは愛知県の『三河一色うなぎ』

-苅部:『うなぎり 福松屋』はどのようにして生まれたんですか?

佐久間:うなぎって昔から日本で食べられているのに、高級食材というイメージが強いのであんまり日常生活で食べることが少ないな、と感じていたのがきっかけです。
18歳の頃から西麻布の創作和食のお店で働いていたこともあり、飲食店を始めるなら日本の食文化を広めるものがいいと考えていました。

-苅部:飲食店の経験があったんですね。商品は実際にどのようにして考えられたんですか?

佐久間:手の届きやすい形態にすることで、もっと気軽にうなぎを体験してもらえると思っています。そのためにはどうすればいいのか、を初めに考えたのがおにぎりの形でした。
そして商品開発を進めていく中で、気軽に食べてもらえ、かつ美しく見えるものを考え、思いついた先が、うなぎを握るものにしようと。

-苅部:おにぎりとうなぎを合わせて『うなぎり』ができたのですね。

佐久間:そうですね、実際にうなぎでおにぎりを作ってみたり、手毬にしてみたり、升に入れてみたりと2ヶ月くらい試行錯誤を繰り返しました。
そこで感じたのが、可愛すぎても自分が求めているものとは違うということです。

-苅部:可愛すぎないとは、SNS映えをあえて意識しないということですか?

佐久間:今の時代、SNS映えすることはとても価値のあるものだと思いますし、それがシェアされて集客にも繋がります。しかし商品を作っていく上で、自分の中で譲れないコンセプトとして「職人」を感じて欲しいというのがありました。
可愛すぎたりSNSを意識しすぎたような映えるデザインというよりかは、ひとつひとつ職人が作った高級感や繊細さが伝わるものを提供したいと思いました。
結果、SNSでシェアしてもらうのは嬉しいのですが、そこを1番に考えるのではないというところが、商品を考える上では大切にしている部分です。

ひとつひとつ丁寧に盛り付ける佐久間さん。味のアップデートは日々行われている

『うなぎり 福松屋』のコンセプトのずれないお店の世界観作りとは

-苅部:『お土産』というコンセプトはどうやって考えられたんですか?

佐久間:『木箱にうなぎの握りが入ったお土産』をもらう機会はないからこそ、もらった時に嬉しいのではと考えました。
うなぎを手軽に食べてもらいたい、という気持ちはもちろんですが、やっぱりうなぎそのものに特別感はあると思うので、大切な人に持っていく時に、喜んでもらえる食べ物だとは感じています。特にこのコロナ禍で気軽に人に会うことができない中、会う際は格段に特別な時間を共有するわけですから、その時間をより演出したい想いがあります。

-苅部:確かに、開けた時に茶色と黄色の彩りがきれいですね。

佐久間:開けた時の印象を上げるために、色味の部分ではうなぎだけだと茶色くて見栄えがしませんでした。
卵で巻くことにより味の相性も良くバランスがとれ、開けた時に「きれい」「かわいい」って思ってもらえるようなデザインになっています。上に乗せている花穂じそと木の芽もポイントですね。

-苅部:コンセプトの軸は「職人」ということなのでしょうか?

佐久間:そうですね。お店のコンセプトとして、SNS映えだけに特化したというわけではなく、「職人」が丁寧に作る、『大切な人に贈るお土産』というイメ-ジを持っていただきたいと考えています。
そのためにも、お店のロゴや外観、ホ-ムペ-ジはもちろんですが、実際にお客さまがお店に来てくれた時に『うなぎり福松屋』というイメ-ジを壊さないことは、世界観作りという点では意識をしています。

-苅部:商品だけでなく、お店や佐久間さん自身も職人としての服装やイメ-ジも大切にされているんですね。

佐久間:統一感のない、ちぐはぐなものは不安を煽ってしまいます。
そして飲食店なので、実際に口にするものに安全や安心をきちんと感じて欲しいからこそ、お客さまには自分のお店や商品がどう見えているのかをキャッチして、料理だけではなく商品を食べてもらうまでの体験全体のコンセプトに統一感をしっかり出すようにしています。

折箱を開けると、2種類の山椒の香りが広がる

コロナ禍だからこそテイクアウト・デリバリ-に特化した経営方針を

-苅部:5月にオ-プンされましたが、コロナの影響はどのようにありましたか?

佐久間:いろんな業者さんが営業していないことが多くあり苦労しました。
電話がつながらない、お店が開いていないから実際に食材や折箱を見て手に取ることもできない、など探したくても業者さんが中々見つからなかったです。

-苅部:業者さんや開店準備など、コロナで起きた課題はどのように対応されましたか?

佐久間:コロナ禍のオ-プンになることはわかっていたので、この事態にどう対応していけば、お店を続けていけるのかを最優先に考えました。
感染拡大もいつまで続くのかわからない状況だからこそ、コロナ禍でもコミュニケ-ションの場所を提供できるものを作りたいという気持ちは強かったです。
デリバリ-(Uber Eats)やテイクアウトに特化した専門店だったら、どちらも叶えられると考え今の業態になりました。

-苅部:状況に合わせてデリバリ-、テイクアウトに特化したんですね。オ-プン後の集客はSNSからの方が多いですか?

佐久間:集客はオフラインもオンラインでも、どちらからもあります。
SNSは反響があるのだろうと思っていましたが、お店の看板を見てきてくれるお客さまもいるのでオンラインに特化するわけではなく、その場所に根付くという集客はこれからも続けていきたいですね。

-苅部:オンラインとオフラインの特性を活かすことで、よりお客さまとの接点を増やしているんですね。

佐久間:SNSからのお客さまも多くご来店していただいているので、時代にあった集客を行っていきたいです。
InstagramFacebookなど、SNSといってもどこから情報を見てくれるかわからないので、お客さまと繋がれる機会や場所はきちんと把握し、行動しています。

-苅部:デリバリ-では対面の接客ができないですが、何か意識されていることはありますか?

佐久間:もちろんお客さまが常に座っていて、その場で料理を提供したり、接客ができるわけではないです。
しかし、短い時間でも信頼や安心を獲得することは可能だと思っています。だからこそ、一つひとつの言動や行動が重要になることを強く感じています。

-苅部:なるほど。決済方法が豊富ですが、ITサ-ビス関連も全部ご自身で申し込みなどを行われたんですか?

佐久間:クレジットカ-ドの決済やインタ-ネットに関することは、知識もなかったので大変でした。
何よりもコロナの影響で時間がかかったというのもありますが、どこに電話をしたかわからなくなってしまったり、それぞれのサ-ビスの手数料を一件ずつ調べて比較したりと細かい作業がたくさんありました。

-苅部:企業からの営業も多いですし、どこでIT関連のサポ-トしてもらえるかが分からないというところでしょうか。

佐久間:やはり、飲食店側としては現場での仕事だけに集中したいというのが本音です。
立ち上げるときは他にもやるべきことはたくさんあるので、どういう風に手続きなどをしたらいいのか、相談できたらいいなと感じています。
デリバリ-やテイクアウトの導入に関しては、CRIENにサポ-トしてもらったので、その点に関してはとても助かりました。飲食店にとってITサ-ビス関連のサポ-トは知っておくべきですし、今後もお願いしたいと思っています。

音楽/クラブ業界でも飲食業界でもエンタ-テイメントを提供するという共通点

商品開発だけでなく『職人』というコンセプトやブランディングについて語る

-苅部:クラブ業界で働いているとお聞きしましたが、『うなぎり 福松屋」を始めてみてからの現在の心境の変化などを教えてください。

佐久間:クラブ業界では、主に裏方の仕事をやっていました。具体的には、イベントの企画を考えることからブランディングやPR、フライヤ-を作ったりするまで、マネジメントとして幅広く携わっています。心境の変化はもちろんありますが、人と接したり、誰かが喜んでくれるようなことがしたい、エンタ-テイメントだと思って福松屋もやっています。

-苅部:何か大きく方向を変えたというよりかは、エンタ-テイメント要素の幅を広げたという形ですね。

佐久間:そうですね、そういう意味ではクラブ業界はイベントや音楽、お酒の提供を通じてコミュニティを作っているとしたら、今は「コミュニティを広げる、深めること」を食を通じて体験していただきたいと思っています。
なので、根本にある自分がやりたいことは今も昔も共通していますね。

-苅部:最後に、今後の展望について教えてください。

佐久間:『うなぎり福松屋』の今後としては、実際デリバリ-やテイクアウトは自宅に頼まれる方も多いので、うなぎという軸をもとにテイクアウト店だからこそできる商品形態や価格帯を変えて、自分へのご褒美とした商品なども作っていきたいです。そして最終的には、コミュニティをつなげる・作ることがしたいですね。

-苅部:クラブ業界や飲食店というくくりに留まらず、価値ある空間の提供ということでしょうか。

佐久間:クラブ業界のときでもそうですが、自分は人と接する働き方をしたいので、どうしたら、よりコミュニティをつなげることのできる空間や体験、料理を提供できるのか。
また、今回のように実際に対面での接客が難しい状況では、どうやって人と関わっていければいいのかについて、これからも考えチャレンジしていきたいです。

-苅部:すごくよく「うなぎり 福松屋」のこと、佐久間さんが昔からも今でも大切にされていることがわかりました。本日はありがとうございました。

佐久間:ありがとうございました。

専門店は食材に特化しているからこそ、コンセプトの統一感が必要となる。また、昨今の飲食業界では様々な業態、集客方法が行われており、時代や時期に合わせて変化し続けていくことも求められるため、バランスが難しい。しかし、その先に目的があるからこそどのような状況になっても、世界観を壊すことなく信頼と安心を提供できるのだと感じました。

そして飲食店が現場の業務に集中するためにも、CRIENではITに関する全てのサポ-ト・ご相談を無償でお受けしています。
ページ下部のお問い合わせよりご連絡をお待ちしております。

六本木の小道を入ると、ぼんやりとした灯りが心地い提灯が目じるし

うなぎり 福松屋

HP:https://www.fukumatsuya.tokyo/
営業時間:11:00〜20:00
定休日:月曜日
住所:〒106-0032
東京都港区六本木7-12-12 小林邸1F
tel:03-3746-6611